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スタッフインタビュー : 監査人の45日間戦争

入所1年目の新人が、上場会社の監査に入ってから、担当科目の数値を固め、主査にレビューを受け、法人内の審査を受け、そして、決算短信発表に至るまでの現場作業日記を書いてもらいました。
上場会社では決算日終了後45日以内に決算短信を発表しなければならないので、監査スケジュールもタイトになります。
この日記を通じて、新人スタッフが感じている時間を体験してもらえればと思います。

監査日記概要

  • 上場会社の期末監査(遠方にあるので、3週間ほど出張&ホテル暮らしです)
  • 前回、第2四半期監査よりアサインされチームメンバーになりました。
    前回の担当科目は、現預金,借入金,社債,純資産,営業外損益,特別損益など・・・
    今回の担当科目は、販売費及び一般管理費,その他流動資産(前受金,未収入金,立替金,前払費用など),その他流動負債(未払金,未払費用,前受金,預り金など),投資有価証券
    ・・・前回よりは、リスクがある科目を任されていると思われる。
  • 今回期末監査での僕の目標は、計画性・効率性を持って作業をすること。
    ・・・全ては想定の範囲内に!!!!

今回の監査スケジュール

今回の監査スケジュール

第1話 「ある監査のお話」

今日から監査本番だ。上場会社の中間監査。
全部で3週間入る予定で、今回の自分の担当は
「その他流動資産」,「その他流動負債」,「投資その他の資産」,「販管費」,「確認状対応」・・・。

まずは1週間ちょっとで財務諸表の残高を固める。
自分の担当科目について計画を練ることにした。
監査とは、受験勉強とは違い自分ひとりで完了できるものではない。
会社の人とコミュニケーションを取りながら作業を進める必要がある。
相手の行動予定を予想しつつ、自分のスケジュール管理をするのがポイントだと最近わかってきたので、
それを考えながらスケジューリングをした。

さあ、ある監査のお話のはじまりだ。

第2話 「はじめの1歩」

今日から監査本番だ。上場会社の中間監査。

まだ2日目だから軽めに・・・なんて訳にもいかない。
今日は「その他流動資産」中心で増減内容を把握した。
明日からガツガツ証憑突合するか。

夜は・・・これからのパワーを蓄えるという意味で、チームの人と焼肉♪
出張ジョブでは、チーム内コミュニケーションも大切です。
明日からまたがんばれそう。

第3話 「資産に価値あれ」

今日は昨日把握した「その他流動資産」の著増減に関する証憑突合を中心に行った。

その中でも立替金についてだが、前期末に比べて大きく膨らんでいる!
ここでのポイントはその資産性。その心証を得なきゃ。
そこで会社の方への質問、証憑突合を実施した。
今回の増加の理由は一時的なものであり、返金予定はあるとのこと。
そこで実際に計画表と相手先とのやりとりを確認し、その予定の実行可能性を確かめることができた。
以上より、十分かつ適切な監査証拠が入手でき、心証は得られた!と判断できる。

そこで作業は終了。
明日は主に「投資その他の資産」を中心に作業をしようかな。
そのほかの科目も見ておきたいかも。大まかな著増減ぐらいはね。

とりあえず今日はお疲れ様でした。

外に出ると通りで祭りをやっている。
出店でカキ氷を購入。スーツでカキ氷を食べるってのも悪くないかも。
ぜひお試しあれ。

第4話 「ひよっこ」

今日は「投資その他の資産」を中心に作業を行った。
子会社株式の減損の検討にあたり、決算書を入手。
それだけ見ると減損が必要そうだけど、後日、事業計画も入手して判定をするということにインチャージとの相談により決定した。
(「金融商品に関する実務指針」第285号参照)

まだまだひとりじゃ判断は下せないし、日々勉強勉強・・・

今週は火曜から入ったから、気づいたらもう金曜だった。
東京に帰れるのはちょっとうれしい・・・新幹線も結構スキ。
明日は確認状の回収に事務所に行かなきゃいけない。
日曜は気分転換に家の近くをぶらぶらしちゃおうか。

そして来週からスパートをかける!

第4.5話 ちょっと一休み「監査時々花火」

夏といったら・・・公認会計士試験の季節!
ではなくやっぱり花火!!
という訳で花火にいっちゃいました。

あまりの人の多さにちょっと疲れちゃったけど、
心地よい風、夜空に咲くきれいな花火、可愛らしい浴衣と
お休みを満喫しちゃいました。

花火を見ながら、去年の今頃、死ぬ気で勉強をしていた時を思い出し、
改めて「あの頃の熱い気持ちを忘れずに、毎日を全力で過ごそう」と強く思いました。

さあ、お仕事しよう!!
でも、今度は海だな・・・

第5話 「時は金なり」

今日は「その他流動負債」を中心に作業を行った。
これらの科目については前期末と比較しても大きな増減はないみたい。
中身を見ても特に異常な項目は見受けられなかった。

ということで一通りの作業は軽めに終了。

ここの監査が始まる前に
「限られた時間の中で十分な監査を実施するには、リスクの高い項目に時間を掛けるのが重要だよ」とインチャージのお言葉を
いただき、その時にある程度の自分の科目作業スケジュールを提出した。

その結果、今「その他流動負債」はあまりリスクが高くないと判断され、作業も軽めのものとした。

今回の監査に入る前に自分の中で、有効性と効率性の関係を意識しようと決めた。

さて出来てるのだろうか??
ランチではおいしく(有効性が高↑)、早い(効率性が高↑)
食事が出来ていることは間違いないんだけどね。

明日はアンレコの予定。詳細はまた明日に。

第6話 「VS 請求書」

今日は「その他流動負債」の中でもアンレコを実施した。
アンレコとは期末日以降の支払の請求書をチェックし、期末日時点で
未払金(未払費用、買掛金)として計上すべきものがないか、網羅性をチェックする作業のこと。

そこで会社から請求書をゲットしたのはいいが、すごい量!
マジですか!?請求書に囲まれながら、アンレコ、アンレコ・・・・

その結果、いくつか計上されていない請求書を発見!!
今後、金額の重要性により追加計上すべきか決定していく予定。

これで「その他流動負債」は一通り終了。
残るは「販売費及び一般管理費」。
でも、販管費は期中往査時にしっかりみているから、そんなに時間はかかんないかな。

さてどうなることやら。

最近、遅い時間に食べてるからか太ってきた気がする。
厳格監査の時代。自分にも厳格でいこう。

今日の作業はいよいよ最後の科目
「販売費及び一般管理費」。

さっそく作業開始。
とはいかず、その前にやらなければいけない重要な仕事が。

実は今日、2週間前くらいに送っていた確認状の回収期限。
確認状の回収状況をチェックしなきゃ。
送られてきていないものについては、会社の方に催促をしてもらえるように依頼しなきゃならないからね。

回収出来なかったら代替手続しなきゃいけないし。

というわけでチェックチェック。
「ただいまの回収率は7割でございます。あと3割よろしくお願いします。」

その後、販管費の作業開始。
前期比較、月次推移、それぞれの科目という流れで見ていく。
求人費が4月に増えてる。卒業、入学と人の流れがある月だもんね。
納得。

本日の作業終了。
今日はなんか疲れたな。部屋に戻るとテレビで映画をやっている。
昔CMでやっていて見たいと思ってた映画だ。
もう寝た方がいいんだけど、なんとなく見ちゃう。
やっとさっき見終わった。
見事な期待外れ。

ちっ。見なきゃよかった。
あ~とりあえず今回の自分の作業は一通り終わったかな。
予定通り順調順調。
今日は気持ちよく眠れそうだ。

それから眠りについた僕。

しかしその夜、突然ハッと眼が覚めた。
大量の汗をかき、胸の鼓動が高まっている。
それと同時に妙な胸騒ぎもする。

まわりを見渡すが、いたって静かな夜だ。
気のせいだと思い、そのまま就寝した。

このときは、まさか明日から僕に壮絶な試練が降りかかってくるとは思ってもいなかった。

そのまま夜は明けた。

第8話 「塵も積もれば・・・」

今日は「販売費及び一般管理費」の続き。

といってもだいたい終わっているのであとは調書をまとめるだけ。
午前中で終了!
よし♪自分の科目完了だ!!

となるはずだったのだが、そこから壮絶な戦いが始まった。

インチャージによる
百本ノックならぬ「百本to do」が!!!

to doとは自分が作業として記録した監査調書をインチャージにレビューしてもらい、
抑えが甘いところをリストとして挙げてもらうというものである。

実はこの数日間で行った科目についての調書をレビューしてもらったのだけど、
僕の手元には大量のto doリストが。

・・・・・・・・・・・・・・・・・。

監査証拠の不十分さのための追加手続の実施や増減理由の説明が不明瞭な点について
会社の方への追加質問、調書の見やすさを意識した形式的なことまで含まれている。
フルコースで全部食べればお腹いっぱいになりそうだ。

しかし、このto doは自分を成長させるトレーニングのようなもの。
これを全部こなし、また次の現場へとつなげていかなければいけない。
それに愛のあるしごきなら喜んで受けることが出来る。

これは明日からほかの作業と並行してやっていこう。
あと、回収できていない確認状についても見切りをつけて代替手続をしなきゃ。

まだまだだな・・・・
甘かった自分に反省。目指せ!!To doゼロ。
イチローが3000本安打を達成したらしい。
コツコツ続けることが大事なんだって。

イチローさん。心に染みます。

第9話 「遅れてやってくるものたち」

本日の作業は確認状の代替手続とその他流動資産で、ひとつだけ残っていた科目についてのもの。

確認状の代替手続は、回収できていない確認状残高に対して心証を得るために行わなければいけない重要な手続だね。
午前中で一通り終了。

後者の作業は「投資有価証券」に関するもの。
なんでほかの作業と一緒にできなかったかというと、関係資料がなかなか出なかったために今まで保留していたため。
監査はクライアントの状況によって進捗も変わるため、効率的に作業をしていかないといけないと改めて感じた。
時価のあるものについては対象有価証券の株価を調べ、時価のないものについては決算書を入手して、減損が必要か
どうかを検討し、適切に計上されていることを確認した。

本日の作業は終了。

最近現場で干し梅ブームが来てる。
コンビニに売ってる安いやつなんだけど、味のバランスが絶妙だ!ともっぱらの噂。
もしどこかのコンビニで3,4人で同じ干し梅の商品を買ってるひとがいたら、その中の1人は僕だと思ってください。

第10話 「BGMは雷」

本日最初の作業は会社の試算表にいままで指摘した修正等が適切に反映されたかどうかの確認。

問題なし。

その後の作業としては今までたまっていた、
いや、ためていた雑用作業!

調書のインデックスを作ったり、コピーをとったり、
アサインの関係で、ほかの現場にいってしまった先輩から頼まれていた作業を行ったり・・・・・

J1としては大事な作業です。
本日の作業終了。

最近、夕方になると雨がすごい。
雷付きで。でもそういうのってなんか興奮しないですか?
僕だけじゃないはずです。
ちょっとやる気がでちゃう人は。

第11話 「注記と睡魔との闘い」

本日の作業は注記チェック。

ここの会社は注記に関するパッケージを利用しているため、そこで作成した資料を検証していく。

自分の担当科目に関係する資料を入手し(有価証券に関するもの等)、今までに残した調書と突合。
若干、誤っていた点を会社の方に直してもらい一通り終了。
これで注記の準備はOK!かな。

明日からはいよいよキャッシュ・フロー。
会社の方の話によれば、現時点ではまだ作成できていないとのこと。
大丈夫かな?僕等で作成するわけにはいかないから、じっと我慢。

盛り上がってきました。

昨日あんまり寝てないからすぐ寝よう。
早く日記書いてとっとと寝・・・zzzz

第12話 「虫捕り」

本日の作業はキャッシュ・フローのチェック。

会社の方からいただいた資料。
キャッシュ・フロー精算表。受験時代にはあまり見たことがなかったんだけど、実務ではこれが一般的。
まだ少し慣れないんだよな・・。

数字数字数字数字!!!
一枚の紙に数字が羅列され混沌としている。
計4枚。

それぞれの数字の正確性を、科目調書、パッケージ等を見ながら検証していく。

う~ん。ずっと細かい数字を見ていると段々それらが虫に見えてきちゃった。うじゃうじゃいる。

そんなこんなで格闘しながらも本日の作業終了。
今日中にキャッシュ・フローのチェックを終わらせたかったんだけど、結局資料が来たのが午後だったからな。

じゃあ、僕は明日の作業の効率性を高めるために、寝る前にキャッシュ・フロー精算表の復習をしよう。

今後の予定は明日上、キャッシュ・フローのチェックを終わらせて現場を一旦引き上げる。
ホテル暮らしも、明日でおしまい。
そして、明後日には内部審査を受ける。
これはそれぞれのクライアントで実施された監査の信頼性を、品質管理や意見表明の観点から法人内部で審査するもの。

審査会のメンバーは法人内の社員で構成され、みなベテランの会計士ばかり。
その部屋に入るだけで緊張する。

ちょっとずつゴールが見えてきたが、監査チームとして超えなければいけない大きな壁がある。

第13話 「審査のために」

本日の作業は昨日の続き・・・の前に
審査資料の作成。

具体的には、自分が担当した科目について、審査を受けるための特定の形式に従った資料を作っていく。
審査会のメンバーは、自らが現場に入ることなく資料だけで会社の状況を判断するのだ。
判断材料となる資料は、形式的・質・量ともに過不足のないものでなければならない。

明日には内部審査が控えているということで資料作りを優先することになった。
一通り作成したところで作業終了。

明日は久しぶりの事務所作業。
今日できなかったキャッシュ・フローをやろう。

いよいよ審査会。
今回は出席するのはインチャージのみだけれども、なぜか僕も緊張してきた。

第14話 「夢の中でも・・・」

本日は久しぶりの事務所作業で、紙上の虫捕り「キャッシュ・フローのチェック」の続き。

行っていく中でいくつか数字の根拠が確認できないものを発見。

それらについては一覧表にまとめておいて、後日現場にいった時に会社の人に渡すことにしよう。
一緒に虫捕りか。

しかし、そんなことは置いといて
本日の目玉は「審査会」。

自分の作業を行っているときに、インチャージが審査会を受けていた。
僕はその時に使う資料をコピーし、部屋に届けただけで、あとは時の経つのを待つのみ。

30分経過。もうすぐかな・・・
1時間経過。ちょと長いな・・・
1時間半経過。なかなか終わらないなぁ~心配。

そんな中、インチャージが戦い終え戻ってきた。

いくつかのポイントについて(自分の担当科目では未上場株式の減損検討など)
質問を受けて、思ったよりも時間がかかったみたいだけれども無事終了した様子。

お疲れ様です!
本当にお疲れ様でした。出席していない僕もなぜか肩の荷が下りた感じ。
ひとまず安心ですね。

これからあとは約1週間後の決算短信発表のために表示チェックを行っていく。

さあ時間も迫ってきました。
もたもたしてたら間に合わない。
最近はもっぱら寝てる間も夢の中で監査。

今日は勝手に緊張してたからなかなか寝れないな。

第15話 「電卓男」

本日からの作業は決算短信の表示チェック。

今ままで検証してきた財務諸表や注記の適切性が短信に正確に反映されているか確かめていく。
ここで数値が変わっていたら意味ないもんね。
あとは文章のチェックも。

インチャージが文章を見ている中、自分は総資産や当期純利益などの表示が正しい数値であるか、
加減算を電卓でひたすら確かめていく。
ここは受験生時代に磨き上げたテクニックの見せ場ですよ。
左手で打つべし!右手でめくるべし!!

正確性をお忘れなく。

自分の叩く電卓の音でアドレナリンを出しながら
作業終了。

なんとか、予定通り明日で決算短信の表示チェックも終わりそう。
また明日。

第16話 「夏はまだまだ」

本日の作業は決算短信のチェック完了。

自分の非力さで、キャッシュ・フローの部分だけ最後まで残っていたが、インチャージの方に手伝ってもらいながらなんとか終了。
加減算のチェックも電卓でカタカタやってOK。

以上!ひとまずお疲れ様です!!

あとは、会社法計算書類の表示チェックも必要だけど、まだそれは
ちょっと先のお話。
約3週間入っていたこの現場ともちょっとの間サヨナラです。
なんだか寂しい感じ。

業務が終わり、外に出ると元気よく蝉が鳴いていました。
明日からは別の現場へ。次は、都内の会社です。

まだまだ熱い夏は続きそうです。

最終話 「目に見えない事実」

本日決算短信が開示された。

tdnetで検索し、実際に自分の眼で確認。
科目残高固め、インチャージレビュー、内部審査に・・・表示チェックに至る一連の作業の成果物が目の前にあり、
それが世間に公表されたこの事実。

しばらくの間、達成感に浸ってしまった。

それと同時にこれを多くの利害関係者がみるということも強く感じた。

会計士としての責務の重要性を認識し、日本経済の発展に寄与していかなければならないと改めて考えることができ、
今回の監査によって自分を成長させることができたと思う。
さあ、今日の現場もがんばりますか。

以上、そんな「ある監査のお話」でした。

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